5月15日、エネルギー基本計画の改定に関する審議会での議論がスタートしました。

・総合資源エネルギー調査会「基本政策分科会」第55回(2024年5月15日)

https://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/

これに先立つ13日の夕方にGX実行会議が開かれています。資料1の11ページに「今後の進め方(案)」が示されていますが、エネルギー基本計画の議論と並行してGXリーダーズパネル(仮称)を開催、「GX2040ビジョン」を作っていくとされています。https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/gx_jikkou_kaigi/dai11/index.html

GX実行会議やリーダーズパネルには、市民や環境団体等の参加はありません。
残念ながら、市民不在、国民的議論のないままに、ますます原子力や脱炭素新技術の推進が強まる見通しです。

このような状況に抗議し、再エネ100%と公正な社会をめざす「ワタシのミライ」実行委員会は16日、第七次エネルギー基本計画の策定に関する意見書を政府に提出しました。

また9日には、原子力市民委員会などと合同で、エネルギー基本計画の策定プロセスに対する要請書も提出しています。https://www.ccnejapan.com/?p=15272

「ワタシのミライ」では引き続き、エネルギー政策の議論を注視し、市民の声を可視化していきます。

 

———————意見書本文 PDFはこちら———————

岸田文雄 内閣総理大臣
齋藤健 経済産業大臣
伊藤信太郎 環境大臣
隅修三 総合資源エネルギー調査会基本政策分科会長
大塚直 中央環境審議会地球環境部会長

持続可能な再エネ100%と公正な社会を実現する

新しいエネルギー基本計画を求めます

再エネ100%と公正な社会をめざす「ワタシのミライ」実行委員会*
2024516


 気候危機は年々深刻さを増し、日本でも私たちの生命や暮らしが脅かされています。気候危機の被害を減らすため、国際社会は、世界の平均気温上昇を産業革命前に比べて1.5℃未満に抑えることをめざしています。近年の化石燃料の価格高騰は、エネルギーを輸入に頼ることの危うさを明らかにしました。東京電力福島第一原発事故や能登半島地震は、想定外の地震が頻発する日本での原発リスクを改めて浮き彫りにしました。化石燃料や原子力をめぐる汚染やリスク、気候変動の被害が、弱い立場に置かれた人々や地域に偏っている不公正な状況が続いています。

 気候・エネルギー問題を解決するには、エネルギー消費や経済・産業のあり方を見直した上で、化石燃料や原子力から脱却し、持続可能な再生可能エネルギー100%の公正な社会にシフトすることが不可欠です。それによって化石燃料の輸入で毎年海外に流出している数十兆円が国内で循環します。それだけあれば、きれいな空気や自然を守り、クリーンな雇用を増やして地域を活性化させながら、夏は涼しく冬は暖かい省エネ性能の優れた家で健康かつ安価に暮らせる、公正な社会を作ることは可能です。

 

 新しいエネルギー基本計画には、多様な立場の専門家や環境団体に加え、広く市民の声を反映させなければなりません。特に、気候危機の悪影響を大きく受ける第一次産業の関係者、気候災害や原発事故の当事者、若い世代などが検討に参加する必要があります。
 しかし、実際のエネルギー政策の検討は、化石燃料・原子力産業の代表が中心になっています。2022年に政府が打ち出したGX(グリーントランスフォーメーション)方針は、関連企業の意向を反映し、原子力推進に踏み込み、化石燃料の利用を温存する内容です。市民参加のないまま策定されたGX方針が第七次エネルギー基本計画の土台になることはあってはなりません。

 これからの世代に希望ある社会を残すために、私たちは、第七次エネルギー基本計画の検討に向けて、以下を要望します。

要望事項

1.エネルギー基本計画の見直しでは、審議会における検討に若い世代を含む多様な立場の専門家や環境団体、市民の参加を確保するとともに、民主的で透明なプロセスによる「国民的議論」を行うこと。

2.エネルギー基本計画の見直しとあわせ、2030年の温室効果ガス削減目標を、1.5℃目標やCOP28合意に整合させ、先進国としての責任を果たせる水準に引き上げること。加えて、2035年に向けた新たな野心的な削減目標(*)を設定し、遅くとも2025年2月までに国連に提出すること。
*「世界全体で2035年までに60%以上削減(2019年比)」を大きく上回る目標

3.G7サミットで合意されている「2035年までに電源のほぼすべてを脱炭素化する」目標について、これを原子力に頼らず省エネと再エネで実現する方針をエネルギー基本計画に盛り込むこと。COP28で合意された「化石燃料からの脱却」と「2030年までの再エネ設備容量3倍及びエネルギー効率改善率2倍」というグローバル目標に、先進国である日本として大きく貢献できるエネルギー基本計画とすること。

4.原子力について、再稼働、運転延長、新増設・リプレースや新型炉の開発をやめる方針をエネルギー基本計画に盛り込むこと。原子力規制や避難計画なども見直す必要がある。既存の原発も期限を定めて廃止すること。

5.決定的に重要なこの10年に実用化が間に合わず、実現可能性が不確実かつ高コストで、環境・社会への悪影響が懸念される化石燃料関連の新技術(水素・アンモニア、CCS等)には頼らずに、化石燃料自体からの脱却をめざすエネルギー基本計画とすること。

6.原子力と化石燃料から、省エネ・再エネを中心とした産業・社会構造への公正な移行が円滑に進むよう、クリーンな雇用の確保や地域への支援、人々のくらしのサポート、格差や不平等の是正に取り組む方針をエネルギー基本計画に位置づけること。

以上

* ワタシのミライ実行委員団体(17団体)
Fridays For Future Japan、国際環境NGO FoE Japan、国際環境NGOグリーンピース・ジャパン、市民電力連絡会、Protect Our Winters Japan、国際環境NGO 350.org Japan、気候ネットワーク、環境エネルギー政策研究所、原子力資料情報室、アムネスティ・インターナショナル日本、Climate Action Network Japan(CAN-Japan)、地球環境市民会議、グリーン連合、パルシステム生活協同組合連合会、spiral club、原子力市民委員会、日本労働者協同組合連合会(ワーカーズコープ連合会)、気候訴訟ジャパン、環境まちづくりNPO エコメッセ

●本意見書の賛同団体一覧(46団体)
グリーンピープルズパワー株式会社、さよなら玄海原発・久留米、未来世代幸福法日本版プロジェクト、特定非営利法人グラス・ルーツ、グローバル連帯税フォーラム、東京の水連絡会、特定非営利活動法人セブン・ジェネレーションズ、地球救出アクション97、環境文明21、グリーンコープ生活協同組合おかやま、環境まちづくりNPO元気力発電所、PV-NetNPO太陽光発電所ネットワーク)、NPO法人バングラデシュと手をつなぐ会、NPO法人新エネルギーをすすめる宝塚の会、特定非営利活動法人A SEED JAPAN、一般社団法人コンサベーション・アライアンス・ジャパン、コンセプトワークス、I女性会議、大阪市の街路樹撤去を考える会、ノーニュークス・アジアフォーラム・ジャパン、電力改革プロジェクト、株式会社Hibana、プロボス、ふぇみん婦人民主クラブ、小平・環境の会、こだいらソーラー、NPO法人リアルにブルーアースおおさか、みどりのドクターズ、#6年後も本当に住みやすい街大賞1位とるぞ藤沢プロジェクト、NPO法人気候危機対策ネットワーク、グローバル連帯税フォーラム、メコン・ウォッチ、全大阪消費者団体連絡会、生活協同組合パルシステム東京、生活クラブ生活協同組合埼玉、一般社団法人生活クラブエネルギー事業連合、気候危機・自治体議員の会、バングラデシュと手をつなぐ会、XR四国、コンシューマーズかながわ、一般社団法人大磯エネシフト、特定非営利活動法人せたがや水辺デザインネットワーク、核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団、日本カトリック正義と平和協議会平和のための脱核部会、原発さよなら四国ネットワーク

「ワタシのミライ」実行委員団体・意見書賛同団体の合計:63団体